『野ばら』の主題による幻想曲(Fantasie uber Heidenröslein.zip)

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 意外と盲点なのかも知れないと思って書きましたが、本当に無いのか深掘りはしていないので実はあったらごめんなさい。
 こんなに扱いやすいメロディなのに誰もやっていないなんて妙な話ではありませんか。

 フルート界隈では歌曲を題材にした幻想曲と言えば、どうしても「しぼめる花」が思い浮かびます。しかし、題材となった歌曲そのものの知名度で言えば、「野ばら」に軍配が上がるのではないでしょうか。
「メリー・ウィドウ」のファンタジーを書いてからこれまで他者の書いた物を題材にするのは極力避けてきたのですが、この度、リヒャルト・シュトラウスの奏鳴曲の後にアンコールとして演奏する物を……となった時に「ファンタジーの墓場に新たなファンタジーを投げ込むしかなかろう」と書いたのが本作です。

 実は私の10代最後の作品に「『千の風になって』の主題による変奏曲」というのがあります。これは今思えばフルートとピアノの為に書いた「歌曲の変奏モノ」としては初めてのものでした。もしかするとフルートという楽器は、歌曲を変奏させる気を起こしやすい楽器なのかもしれません。ジャズ風、ボサノヴァ風、タンゴ風、和風……と、当時思いつくままに様々な様式を並べた作品でしたが、今でも不思議と愛着があります。
 しかし、17年前のその作品から考えると「よくぞここまでご成長なさって」と感心せざるを得ません。

 今回の幻想曲は、世界的に有名な二つの「野ばら」を題材にして、簡単な序奏と九つの変奏という「幻想曲」というフォーマットに極めて忠実な作品です。 
 演奏時間は中程度……何をもって「中」かは置いておきますが、それぞれのご都合によりカットが可能な変奏を設けてあるというホスピタリティ。それに、初めて「悪ふざけ」と感じられないクオリティのHumorを実現出来たのではないかとも考えております。

 私は今年オーボエのために「『菩提樹』の主題による幻想曲」も書く予定なので、2026年には、私の手によって「木管楽器史にもしかすると残りかねない『借り物幻想曲』」が、二曲も生み出される事になるのです。


 この作品は2026年6月10日に、Fl. 下払桐子、Pf. 森亮平により、ゴーベール「バラード」、メル・ボニ「ソナタ」「スケルツォ(フィナーレ)」、シューマン「3つのロマンス」、R.シュトラウス「ソナタ」という重量のあるプログラムの後にも関わらずノーカットで初演されました。



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スコア譜とパート譜(フルート)がセットになっています。
ご購入いただくと、2つのPDFが入ったZIPファイルをダウンロードできます。

・スコア譜 15ページ
・パート譜(フルート) 6ページ